刻一刻国医

とある医学部生のブログ

医学研究者を目指していたが動物実験がツラい

私はもともと医学研究者になりたかった。

医学部入学時の面接でもそんなようなことを言ったと思う。

 

しかし、学年が上がってきて医学研究者の具体像が見えてくると、その夢が揺らいで来た。その理由の1つが動物実験だ。

 

入学前に医学研究に動物実験が必須であることをはっきりと認識していなかったとは甘いとしか言いようがないが、私はもともと見込みが甘く計画性がなくテキトーな人間なのだ。残念ながら。

 

私は実験用ラットにどうしても同情して悲しくなってしまうのだ。

それはラットを死なせるときだけではない。ラットが恐怖で失禁したり怯えたりしているところを見ると、「辛いだろうな」と思い気分が落ち込んでしまうのだ。

 

現代医学が動物実験と実験動物の犠牲のもと成り立っていることは重々理解している。

そもそも私たち人間は他の動物を食べることで生きている。都市化は他の動物の迫害を伴う。ヒトのような生物は他の生物の生を奪うことでしか生きられない罪深い存在なのだ。

 

でも、どうしても動物実験に慣れることができない。どうしても気分が落ち込み、ひどく悲しくなる。この悲しさとともに医学研究を一生続けていく自信がない。

 

「ラットに対して私ほど感情移入してしまわない人が医学研究を行えばいいのではないか。自分が精神的に深く落ち込んでしまうぐらいなら目を背けてもいいのではないか。」

「私は(将来)医療に携わる者としてその基礎である動物実験から逃げてはいけないのではないか。そもそも私がやらなければ他の人がやるだけだ。研究に携わりたいのであれば、そんな甘いことを言っていてどうする。」

この2つの気持ちが交錯している。まだ、自分の中で結論は出ていない。

 

もともと私は他人の感情に引きずられやすい人間だ。周りの人が悲しそうにしていると自分も悲しくなる。俗に言う「繊細さん」というものなのだろうと思っている。

しかし、医師は様々な人の感情を受け入れなければならない仕事だ。

医学研究(と動物実験)をせずとも、このような仕事が自分に務まるだろうかという悩みもある。

 

医学部は6年もあるのでいろいろと悩んでしまう。早く働き始めたい。